シーズンエンドのオールスター戦は、チームの枠を越えた選手の交流とファンへの感謝を込めて行われるイベントだ。
12月20日、東京・調布市のアミノバイタルフィールドで行われたバーシティーボウルは、関東学生2部リーグおよび3部リーグ選抜と、関西学生ディビジョン2、3選抜が対戦するオールスターゲームとして、今年で26回目を迎えた伝統あるボウルゲームだ。
試合当日、注目を集めたのは日本学生アメリカンフットボール協会の平井英嗣理事長が関西学生ディビジョン3選抜の監督を務めたことだった。
オールスター戦の監督は、ディビジョン内で優秀な成績を残した指導者が務めるのが通例。しかし、ディビジョン3のチームは社会人監督が責任者を務めながら、実質的な指導は学生コーチが行っているチームも多い。そこで、ディビジョン3の監督陣たちは、学生コーチたちが正しい指導のスキルを学ぶ機会を作るために、平井理事長に監督就任を打診した。
平井監督は1週間行われた練習にすべて参加。現役監督時代から熱血漢で知られている故に御年67歳にもかかわらず「練習では防具を着て指導していた」という噂もまことしやかにに囁かれた(※)ほど、熱の入った指導だったようだ。
試合は平井監督指揮の下、攻守コーディネーターを学生コーチが務めた関西学生ディビジョン3選抜が、関東学生3部選抜を19対10で下して勝利した。
「学生コーチたちが一生懸命チームを作ってくれた。ここで学んだことをチームに還元し、関西のフットボール、そして日本の学生フットボールに還元していってほしい」
試合後のハドルで選手、学生コーチたちにそう語りかけた平井監督だが、
理事長としても得るものが大きかった経験だったようだ。
「学生たちはXOをよく理解しているが、それを作り上げるファンダメンタルの部分が強化ポイントだった。基礎作りの重要性を教えていくことの大切さをあらためて認識すると同時に、教えればできるということも確認できた。何よりも頼もしかったのは、学生達がとても意欲的だったこと。普段、人数確保もギリギリの中でもフットボールを続けようという意欲を持った学生たちは、ある意味、恵まれた環境下にある選手たちに負けない貪欲さを持っていた」と、平井理事長。
平井理事長の監督招聘は、全国の学生フットボールの普及、発展のために大きな気付きを得る取り組みとなった。
※本人は「さすがにそれはない」と、否定。