日本大学フェニックスのDL宮川泰介が、10月4日の練習からチームに復帰した。
宮川は『悪質タックル』問題で被害を受けた関学大の選手に謝罪を行い、反則プレーに至った経緯を告白した5月22日の謝罪会見で「自分にはフットボールをする権利がない」と、選手を引退する意志を表明していた。
8月中旬にリーグ戦に参加できなくなったチームに謝罪するために訪問。この時の橋詰功ヘッドコーチと面談で、復帰に向けた方向性を決めた。
「宮川が復帰に至った理由は3つある。一つは最初に(宮川と)会った時、彼の中ではフットボールから離れる決意が固まっていた。しかし、彼の言葉の節々にフットボールが大好きだという気持ちが感じられた。色んな経緯があったにせよ、20歳の青年がやりたいということを大人が制限するのは、果たして正しいことなのか、と考えた。
もう一つは、宮川本人もリーグ戦に出場できなくなったチームを立て直そうとしているチームメイトがいる中で、自分が外から見ているだけでいいのか、という思いがあったこと。
何より大事なのは、どんな理由があるにせよ、宮川がしてはいけないことをしてしまったのは事実。これから社会に出ていく中で、正すべきところは正さねばならない。フットボールでしてしまった間違いは、フットボールで正すべきだと考え、他の選手たちも賛同してくれた」
4日の練習開始前に記者会見に臨んだ橋詰功HCは、宮川が復帰に至った経緯を説明した。
被害者側である関西学院大の鳥内秀晃監督には、橋詰HCから電話で宮川の復帰を報告し了承を得た。10月3日に行われた関東学生連盟理事会にも復帰を報告。了承を得ている。
今後は、選手として練習に参加しながら、橋詰HCと毎日面談を行うなど、メンタル面でもフットボールを通じた再教育を受けて完全復活を目指していく。
練習復帰前日の3日には、宮川本人のコメントが、弁護士を通じて発表された。
コメントは以下の通り。
『私は、5月6日の試合後、アメリカンフットボール部を退部する意思を固め、その旨を記者会見でも述べました。しかし、その後、厳しいチーム状況を立て直していくチームメイトをよそに、私自身がチームの為に何もせずにいることが無責任であると感じ、本当に部やアメリカンフットボールとの関わりを断っていいのか、思い悩む日々を過ごしてきました。
そんな中、橋詰新監督との面談の機会をいただき、今後の指導方針やチームの方向性をお聞きしました。その際、同監督からは、そのご指導の下でチームの再建に加わらないかという打診をいただきました。また、8月中旬、チームに謝罪に伺った際に、チームメイトたちから、部の一員としてチーム再建を目指して欲しいという声をいただきました。
部への復帰は会見での発言を翻すことになることもあって悩みましたが、迷惑をかけたチームメイトに対する償いとして、部に復帰して、新監督のご指導をいただきながら、チームメイトと共にチームを再建していきたいとの考えに至りました。
被害選手やそのご家族及び関西学院大学関係者の方々から、復帰に関してお言葉をいただいたことも私の決断を後押ししてくれました。
そのうえで、関東学生アメリカンフットボール連盟や日本大学関係者にも部への復帰についてご相談申し上げ、本日のご報告となりました。
今回の私の決断をご理解下さり、後押しして下さった皆様には、本当に感謝しております。
部に戻りましても、連盟の処分が解除されるまでの間は、処分の趣旨の範囲での練習参加をいたします。
最後になりますが、私の反則行為によって、アメリカンフットボールに関わる方々、大学関係の方々をはじめ、多くの方にご迷惑をおかけしましたことをしっかりと心に刻み、今後の糧といたします』
宮川泰介
月刊ハドルマガジンでは、『もう一つのシーズン』と題し、日大の復活への道程を長期連載で追いかけています。今月は出場資格停止処分を受けたチームに残った4年生たちの心境を取材しました。
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