いよいよ2015年シーズンのナンバーワンを決める第69回ライスボウルが新年1月3日に行われます(@東京ドーム)。
Xリーグ代表のパナソニックインパルスと、学生代表の立命館大学パンサーズは、とても共通点が多いチームです。
1:関西同士の戦い
前回、関西同士の対戦となったのは2009年1月3日に行われた第62回大会。今回の対戦と同カードでした。この時は立命館大が17対13でパナソニック電工(当時)に勝利しています。
2:近年敗戦を喫し続けたチームに勝利してのライスボウル進出
立命館大は過去4年間、勝利できなかった関学大にリーグ最終戦で勝利。パナソニックは3年連続敗戦を喫していた富士通に勝利して、ライスボウル進出を果たしました。
3:僅差の戦いを制してきた。
甲子園ボウルで立命館大は早稲田大に1点差の逃げ切り勝利。リーグ最終戦の関学戦も30対27の3点差で逃げ切っています。対してパナソニックは、ジャパンエックスボウルで『最強』と言われていた富士通に対し、残り7分8秒で11点リードされている状況から大逆転勝利で勝ち上がってきました。
4:強い守備+ラン攻撃が柱
立命館大はRB西村七斗(2年)と昨年来のラインアップが揃っているOLを中心とした攻撃。パナソニックはリーグ戦ではRBベンジャミン・デュプリー(シタデル大)、ファイナル・ステージ、JXBではRB横田惇(中央大)、須賀大瑛(日大)とバックフィールドのタレントが変わりましたが、今季メンバーを刷新したOLのブロック力を生かして中央をゴリゴリと無骨に突くプレースタイルです。守備とキッキングで作り出した優位なフィールドポジションを生かして効率的に得点する得意プロセスも似通っています。
では、どちらが勝利するのか?
一般的にはパナソニック有利という声も聞こえてきますが、私は立命館大が勝利するチャンスが十分あるのではないかと思っています。
私が注目しているのは、パナソニックQB高田鉄男と立命館大の池上祐二守備コーディネーターの戦いです。
池上守備コーディネーターは高田が立命館大学の時からコーチと選手の関係で共に戦ってきた関係です。池上コーチは恐らく、高田の思考や癖を一番よく知っている守備コーディネーターでしょう。実際2009年のライスボウルでは、高田の得意なパスパターンを守り、スクランブルさせたところに彼を追いかける役目の守備選手を配置して、パナソニック攻撃を封じることに成功しました。
一方、当時の高田はパナソニック4年目のシーズンでした。少し雑な言い方になりますが、当時は大学時代の特徴を色濃く残した、高田の身体能力を生かしたプレースタイルでした。しかし、あれから7年経ち、高田のプレースタイルは変わっています。特に今季は、周囲の力を引き出すラン中心の攻撃に徹して集中力を節約し、勝負どころで一気に爆発させるというイメージです。
もう一つ、立命館大が有利とした理由は、学生チームは社会人よりも色々なプレーを作り込める時間があることです。これまでも、学生チームの優位点としてあげられることですが、立命館大が他の学生チームと大きく異なるのは、少なくともライスボウルに進出してきたチームの選手たちは、Xリーグの選手にも負けないフィジカルな強さと基本技術を持っていることです。
これは、立命館大出身の多くの選手が、Xリーグの強豪チームで1年目から先発ポジションを勝ち取っていることでも明らかです。
加えて今季の立命館大の主力は、2012年、2014年のアンダー19世界選手権日本代表選手が中心になっています。自分たちよりも大きく、強い選手と戦った経験があるため、試合序盤から臆せず対等に戦える精神的素養を持っていることも学生のアドバンテージである準備力のメリットを最大限に享受できる理由になるでしょう。
ちなみに近年15年のライスボウル戦績は学生は4勝11敗です。
しかし、学生が勝利した4勝のうち立命館大学が3勝しています。
共に4回目の日本一の座を懸けた一戦。果たして勝利するのはどちらか、1月3日が楽しみでなりません。
著者紹介
Dr.D(ドクターD)
幼少の頃からフットボールに取り組み、米国でのプレー経験、国内での長いコーチ経験も持っている。どちらかというと守備マインド。
現在発売中のハドルマガジン2016年1月号では、パナソニックQB高田と、立命館大守備の要、DL仲里のライスボウルに懸ける意気込みを紹介しています。合わせてご一読ください。